香苗先生の法律コラム

掲載日:2015年07月09日

相続を放棄したはずなのに、故人の借金を払えと連絡が。どういうこと?

ママの皆さま、こんにちは。例えば親が亡くなった時、預貯金や不動産などプラスの財産よりも、借金などマイナスの財産の方が多かった場合、子どもが親から引き継ぐ財産はマイナスになってしまう(つまり、相続人である子どもが、親の借金を背負うことになる)ので、そのような場合は、子どもは「相続の放棄」をすることで、借金を引き継がなくてよくなります。

「相続の放棄」のポイントは次のようなものです。

  • 借金の方が多そうだからといって、親が元気なうちに、あらかじめ相続の放棄をしておくことはできません。
  • 相続の放棄は、“自分のために相続が開始したことを知ってから3ヵ月以内”にする必要があります(親が亡くなった時からではありません)。
  • 上記の3ヵ月以内に、家庭裁判所に対して、自分は相続の放棄をする旨申述し(申し述べ)、家裁にこの申述を受理してもらう必要があります。ちなみに、相続放棄の申述をするにあたっては、戸籍謄本などの決められた書類を揃えて一緒に提出しなければなりません。
  • プラスの相続財産を使ったりしてしまうと、その後、多額の借金があったことが判明しても、相続の放棄はできなくなったりします。不安な場合は、相続財産には一切手をつけないでおくこと!
  • 相続の放棄をした相続人は、その相続に関しては、初めから相続人ではなかったことになります。

ですので、例えば、亡き親の相続人が第1の相続人である子どもの場合に、子ども全員が相続の放棄をすると、初めから第1の相続人である子どもはいなかったのと同じことになりますので、そうすると、第2の父母や祖父母が相続人になります。

…とまぁ、相続の放棄をするのにも、ややこしいことが色々あります。でも、相続の放棄は3ヵ月以内にしなければならないというタイムリミットがありますので、ちゃんと知っておかないと危ないですね。
相続の放棄についてお手伝いできる専門家は、弁護士や司法書士です。不安な場合は相談してみてね。

さて、コラムのタイトルの本題に入りましょう。 冒頭の例で、親が亡くなり、相続財産を見てみたら借金の方が多かった場合、相続人である子どもが借金を引き継ぎたくなければ、相続の放棄をすればよいのでした。ここで、すでに3ヵ月を過ぎた段階でこんなことをおっしゃる方がいらっしゃいます。 「自分は、相続人間の協議で、相続を放棄した」 「他の相続人に、自分は相続放棄をすると一筆書いた」 …だから、借金は引き継ぎません! ブッブー。残念ながら、これでは法律上、相続の放棄はできていません。 このようにおっしゃる方がしたことは、法律上、「相続の放棄」とか「相続譲渡」と言われるものです。これでは、プラスの財産は受け取りませんが、借金は法定相続分に応じて引き継ぐことになります。プラスは受け取れないのに、マイナスは引き継ぐなんて!結局、債権者から借金を払えと言われたら、払わなければならなくなります。 「相続の放棄」は家庭裁判所の手続ナシではできませんのでご注意を。