香苗先生の法律コラム

掲載日:2016年01月13日

夫婦別姓と再婚禁止期間

ママの皆さま、こんにちは。昨年の12月16日に、最高裁判所の大法廷(裁判官15人全員で審理する法廷。5人で審理する小法廷というのもあります)で、次の2つのテーマについて判決がありました。
一つは「夫婦別姓」について。もう一つは「女性の再婚禁止期間(女性は、例えば離婚して婚姻が解消した後6ヵ月は再婚できない)」についてです。ニュースを見聞きしたママもいらっしゃるのではないかしら。

「夫婦別姓」については、夫婦は同じ姓を名乗らなければならないと定めている民法の規定は憲法に違反しない(つまり合憲)という判決でした。でも、15人の裁判官全員がいわば同姓派というわけではなくて、別姓を認めた方がよいという考えの裁判官もいました。

「女性の再婚禁止期間」については、再婚禁止期間100日を超える部分(6ヵ月を単純に180日とすると、80日の部分)については憲法に違反する(つまり違憲)という判決でした。なぜ100日を超える部分だけが違憲なのかというと、ココを理解するためには、まず、離婚後300日問題のお話しを思い出してみてください(コラムvol.18192021を見てね♪)。そう、民法772条の問題です。「1項:妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。2項:婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する」という規定です。ちょっと下の図を見てください。

仮に、再婚禁止期間6ヵ月というものがなくて、離婚した日に再婚できるとした場合、民法772条によると、離婚後300日以内に生まれた子と、再婚後200日以内に生まれた子は、前夫の子になります。すると、例えば再婚後250日目に生まれた子は今の夫の子ということになる一方で、離婚後300日以内にも当てはまるので前夫の子ということにもなってしまいます。こういう、前夫の子、今の夫の子、どちらの子か分からなくなる事態を避けるために、民法は、再婚禁止期間を6ヵ月もうけているんです。でも、次の図を見てください。

よーく考えると、前夫の子、今の夫の子、どちらの子か分からなくなる事態が生じてしまうのは、離婚後300日のラスト100日間だけですよね。
今回の判決は、このラスト100日間分の事態を避けるために再婚禁止期間100日を設けるのは合理性があるけれど、さすがに6ヵ月は長すぎるんじゃない?100日を超える部分は余計な規制なんじゃない?と言っています。だから、100日を超える部分は違憲だという判決がでました。違憲だという判断がされた法律は、早晩改正される運命になりますが、改正前であっても使われなくなります。
裁判所は、法律が憲法に違反しないか審査する役目を担っています。裁判所が憲法違反だ!と判断した法律は使われなくなります。なぜ憲法違反の法律は使われなくなるのかというと、そもそも法律を作る側(国会)は、憲法違反の法律を作ってはいけない義務を負っているからです(コラムvol.72を見てね♪)。義務違反をして憲法違反の法律を作っても、それは無効な法律だからなんですね。