コラムvol.18 「自分の子どもが無戸籍になる!? 離婚後300日問題 その1」

女性が再婚・妊娠した時、離婚後300日経っていないと法的には前の夫の子どもだという問題が話題になりましたが、どうしてそうなってしまうのか、分かりやすく教えてもらえたらなぁと思います。
質問者:ももちゃん(仮名)

それではさっそく、花子さんの場合を例に見ていきましょう。
花子さん(35歳)は今年の1月1日、夫の暴力が原因で離婚をしました。そんな辛い思いをして離婚をした花子さんでしたが、離婚の際いろいろ相談にのってもらっていた太郎さん(38歳)から求愛され、離婚後すぐにお付き合いをスタートしました。年齢的なこともありお互い結婚を意識して交際していたのと、お付き合いを始めて間もなく花子さんの妊娠が分かったので、その年の春頃にはいったん結婚話がもちあがりました。ただ花子さんは、「女性は離婚してから何か月間かは再婚できない」という話を聞いたことがあったので、いろいろ調べてみたところ「6か月は再婚できない」ということが分かりました。そこで、6か月を過ぎてから結婚しようね、ということになりました。花子さんのお腹がだいぶ大きくなった夏頃、6か月を過ぎたし出産前にはちゃんと籍を入れないとね、と二人で話し、9月1日に花子さんと太郎さんは婚姻届を出して結婚しました。そして翌月の10月20日、花子さんは無事に女の子・結衣ちゃんを出産しました。結衣ちゃんが生まれて太郎さんは大喜び。すぐに役所の戸籍係に結衣ちゃんの出生届を出しに行きました。
すると、あろうことか戸籍係の窓口担当者は太郎さんにこう言いました。「結衣ちゃんは、花子さんの前の夫の子になります。ですから前の夫の戸籍に入ります。」びっくりした太郎さんは「一体どういうことだ、結衣は俺の子だぞ」と、窓口担当者に詰め寄りました。すると窓口担当者の説明はこうでした。「花子さんが離婚した日から300日以内に結衣ちゃんは生まれているため、民法の規定によって前の夫の子になります。」花子さんが結衣ちゃんを出産したのは離婚してから293日目。300日にたった7日足りなかったために、太郎さんは結衣ちゃんの出生届を、自分の子として出すことができなかったのです。母子手帳を見れば、花子さんの妊娠は前の夫と離婚した後であることがハッキリしています。なのに父親ではない前の夫の子になるなんて・・・。絶対に納得のいかない太郎さんは、出生届を出さずに帰りました。でもこのまま出生届を出さなければ、結衣ちゃんの戸籍は作られず、結衣ちゃんは戸籍のない子になってしまいます。一体どうしたらいいのでしょう。
・・・次回に続きます。

第733条(再婚禁止期間)
[1] 女は、前婚の解消又は取消しの日から6箇月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。
(以下略)
第772条(嫡出の推定)
(以下略)
[1] 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
[2] 婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
[2] 婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
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司法書士 森 香苗(もり・かなえ)東京都出身。大学法学部を卒業後、法律事務所をはじめ、不動産鑑定士事務所、一般企業、派遣社員など様々な仕事を経験した後、独立開業。
不動産鑑定士事務所にいた頃、競売物件を扱う中で、住宅を差し押さえられてもどうすることもできないなど、法律の知識がなかったために不利益を被る人をたくさん見る。
また、シングルになったが財産分与のやり方がわからず、問題を抱えこんでしまう女性にも多数会う。法律を知らないために大変な思いをしているママが多いことを痛感。少しでも彼女たちを支援できないかと考え、司法書士という立場から様々な相談に応える。
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