コラムvol.25 「知ってますか?かしこいお給料のもらい方」

雑貨屋さんでアルバイトをしているのですが、先日、店の棚の掃除をしていた時に、手がすべってお店の商品のお茶碗1個を落とし割ってしまいました。そして割れた茶碗を片付けようとした際に指を深く切ってしまい、病院で3針縫いました。その後、お店のオーナーに謝りに行ったところ、「あなたも大変だったと思うけど、割った茶碗の弁償代1,000円を次のお給料から引かせてもらうね。これ、悪いけど店の規則だから。」と言われました。病院の治療費はかかるし、茶碗の弁償代は引かれるしで悲しいですが、こういうのは、労災とかにはならないんでしょうか?
質問者:こまち(仮名)

ママの皆さま、こんにちは。前回は「アルバイト先での労災」についてのお話をしましたが、今回は「お茶碗の弁償代がこまちさんのお給料から引かれてしまうのは仕方がないことなのか?」についてお話をしていきますね。

まず、お給料の支払い方には4つルールがあります。
(1)通貨払いの原則…
原則として、お給料はお金で支払うべし♪
会社の商品で払います、なんていう現物支給では困ってしまいますものね。
(2)直接払いの原則…
お給料は、働いた人に直接支払うべし♪
誰かがママの代わりにお店からお給料を受け取って、お給料のピンハネをすることを防止しています。
(3)全額払いの原則…
原則として、お給料は働いた分全額を支払うべし♪
お給料からいろいろ引かれて、手元に実際に支給されたのは、これっぽっちだった、なんていうことになると、生活していけませんものね。
ですから、何の取り決めもなく勝手に、“○○積立て”という名目で積立金をお給料から引く(控除する)ことはできません。(ただし、きちんと労使協定で取り決めがある場合や、所得税や社会保険料は控除可能です。)
★こまちさんの問題は、この原則に引っかかってきます!
弁償代をこまちさんのお給料から引くということは、弁償代をお給料と「相殺(そうさい)」するということです。仮にこまちさんが弁償代を負担しなければならないとしても、弁償代をお給料と相殺することは禁止されています。つまり、お店が一方的に弁償代をお給料から引く、という扱いをすることは、たとえお店にそういう規則があってもできないんですね。
(4)毎月1回以上・定期払いの原則…
お給料は、毎月1回以上、特定の日に支払うべし♪
給料日の間隔が長すぎると生活に困ってしまうし、決まった日に支払われないと、あてにできませんものね。

さて、ここまでで、「お店が一方的に弁償代をお給料から引く」という扱いはできない、ということが分かりました。でも、そもそもお茶碗の弁償代1,000円は、こまちさんが負担しなければならないのでしょうか?
確かにこまちさんは、わざとではないにしろ、お店の商品を割ってしまい、お店に損害を与えてしまいました。普通はその損害を賠償しなければなりません。ただ、こまちさんの場合普通と違うのは、「お店でアルバイト中にしたミス」だということです。
お店は、労働者であるこまちさんに対し、お店の商品をわざと(故意に)壊したとか、それはちょっとないだろうというような重大な不注意で高額商品を壊してしまったような場合でない限り、ありがちな仕事上のミスでの損害の賠償をいちいち請求することはできません。理由については色々あるのですが、要は、労使間(労働者と使用者)の公平を考えた結論なんですね。
ですからこまちさんの場合を考えると、お茶碗代1,000円はお店の負担になると思われます。とはいえ、お店の損害には変わりがないので、お仕事は慎重にしましょうね!

司法書士 森 香苗(もり・かなえ)
東京都出身。大学法学部を卒業後、法律事務所をはじめ、不動産鑑定士事務所、一般企業、派遣社員など様々な仕事を経験した後、独立開業。
不動産鑑定士事務所にいた頃、競売物件を扱う中で、住宅を差し押さえられてもどうすることもできないなど、法律の知識がなかったために不利益を被る人をたくさん見る。
また、シングルになったが財産分与のやり方がわからず、問題を抱えこんでしまう女性にも多数会う。法律を知らないために大変な思いをしているママが多いことを痛感。少しでも彼女たちを支援できないかと考え、司法書士という立場から様々な相談に応える。
相談・問い合わせなどはメールで(名前と連絡先をお忘れなく)


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