コラムvol.34 「携帯サイトから○万円払えと請求!これって払わなくちゃだめですか?」

携帯サイトを見ていたときに、画面をよく見ないでボタンを押してしまって、ある別のサイトの入会契約が成立となってしまいました。どうしようと思っていたら、携帯に入会確認の電話がかかってきて、入会するか解約するか聞かれました。解約したいと言ったら、クーリングオフはできないので、解約料5万円を払うように言われました。やっぱり5万円は払わないといけないでしょうか?
質問者:ココア(仮名)

ココアさんの場合も、5万円は払わなくていいです。というより、払ってはいけません。なぜでしょう? その理由は単純明快・・・それは、入会契約は成立していないからです。契約が成立していないのだから、契約成立が前提の“解約”も“クーリングオフ”も、そもそも必要すらありません。つまり相手は、契約が成立していないのにもかかわらず払えなんておかしいことを言っているので、相手にしないで無視をする、というのが正解です。もちろん家に来たりなんかしませんので大丈夫。住所を教えてしまって万一来るようなことがあったら警察に通報してください。(通報されたら困るのでそんなリスクをおかしてまで来ません。)
ここで、なぜ契約が成立していないのか気になりますので解説を(笑)・・・。契約が成立するためにはですね、「申込みと承諾の意思の合致」が必要なんです。例えば、コンビニでアイスを買う場面を想定してね。これは、法律的に言うと“アイスの売買契約”です。このアイスの売買契約が成立するのはどの時点かというと、コンビニに行って、冷凍庫からアイスを出して、レジに持っていって、「これ下さい」と言う(買う気のある「申込み」)、コンビニの店員が「ありがとうございます」と言う(売る気のある「承諾」)、これで「このアイスを買いたい!という申込み」と「このアイスをあなたに売るのOK!という承諾」がありお互いの意思が合致したので、このアイスの売買契約成立になります。いつもの何気ないやりとりを法律的に分析するとこんな感じです。
では、ココアさんの場合はどうかしら? 間違えてボタンを押しただけで、サイトの入会を申込む気はなかったですよね。つまり、ココアさんには申込みの意思はなかったということです。(実際には、間違えてボタンを押すように誘導されていることが多いと思います。)だからね、ココアさんとサイトとの間には契約が成立していないことになるんです。
今回のココアさんの場合のような請求を、架空請求といったり、ワンクリック詐欺と言ったりします。とても悪質です。もし自分にふりかかったら、びっくりして怖くなると思いますが、できるだけ冷静になってよく考えて。そして、個人情報(名前、住所、電話番号、生年月日など)は聞かれても絶対に教えないこと。対処方法は『無視』です。ただし、ひとつだけ無視してはいけない場合があります。それは、裁判所から本物の手紙が来た場合。ただ偽物の手紙もありますので、自分で見て本物かどうか分からない場合は、急いで(放っておいてはダメ!)専門家に見てもらうこと。一発で分かります。最近は敵も進化していて、いろんな手口がありますので、ちょっとでも変だと思ったら(1)絶対にこちらから問い合わせをしない、(2)払わない、(3)個人情報を教えない、(4)相談する、を心がけてね。
司法書士 森 香苗(もり・かなえ)東京都出身。大学法学部を卒業後、法律事務所をはじめ、不動産鑑定士事務所、一般企業、派遣社員など様々な仕事を経験した後、独立開業。
不動産鑑定士事務所にいた頃、競売物件を扱う中で、住宅を差し押さえられてもどうすることもできないなど、法律の知識がなかったために不利益を被る人をたくさん見る。
また、シングルになったが財産分与のやり方がわからず、問題を抱えこんでしまう女性にも多数会う。法律を知らないために大変な思いをしているママが多いことを痛感。少しでも彼女たちを支援できないかと考え、司法書士という立場から様々な相談に応える。
相談・問い合わせなどはメールで(名前と連絡先をお忘れなく)
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