コラムvol.37 「お給料が支払われない!」

旦那のお給料なのですが、昨年の9月分が一度振り込まれないことがあって、旦那が同僚と一緒に会社と交渉したら、翌月に振り込まれました。旦那の会社は経営が苦しいらしく、その後お給料は振り込まれていますが、先月は3日遅れたので、この先ちゃんとお給料が入るかとても不安です。
旦那は転職を考えていますが、それまでにお給料がまた振り込まれなかった場合に備えて、今から何かしておくといいことってありますか?
質問者:マシュマロ(仮名)

旦那さんは一日の大部分の時間を会社で過ごし、家族のために、会社のために、一所懸命働いているのだと思います。自分の勤めている会社に愛着があるだろうし、むろん倒産なんて絶対してほしくないでしょう。会社の売上に直接関係ない部署にいたとしても、会社の業績を上げるため社員一同頑張っているのだと思います。でもマシュマロさんの旦那さんは転職を考えているそうですね。もしかしたら、昨年一度お給料が振り込まれなかった時、会社と交渉した際に、何か思うところがあったのかもしれません。マシュマロさんとしては、そんな旦那さんを気遣いつつ、ここはやはり家計を預かる身として、自分にできることがあればちゃんとしておきたいのだと思います。
そこでまずは、もしお給料が支払われなかった場合にどんな手段がとれるのか、簡単にみていきたいと思います。
昨年旦那さんがしたように、会社と交渉するということが考えられます。旦那さんのように一人でではなく同僚と一緒に交渉するとか、労働組合を通じて交渉するというのは、労働者という弱い立場の人間が会社と交渉するには有効な手段です。会社に労働組合がなくても、一人で入れる労働組合もあります。
また、行政機関を使うのも一手段です。労働基準監督署には、お給料の不払いは明らかに労働基準法違反なので「労働基準法違反の申告に来た」と言って、監督官に相談に行くことができます。それから、例えば東京都には労働相談情報センターがありトラブル解決の調整をしてくれるので、お住まいの都道府県に労働相談窓口がないか探してみるのもいいと思います。
そして、訴訟・あっせん・ADRという方法を使って解決する手段があります。
さて、マシュマロさんのおっしゃるとおり、お給料が振り込まれなかった場合に備えて、事前にできるだけ対策をとっておきたいですね。では何をすればいいかというと、それは2つ。
まず1つは、「いざという時の解決手段を知っておく」こと。これは上記で簡単にみてみました。
もう1つは、「証拠を集めておく」ということです。
証拠がないと、お給料が本当に支払われていないのかどうか、未払いになっている金額はいくらになるのか、他人から見たら分からないですものね。
証拠になるものとしては…給与明細、タイムカードのコピー、勤怠の報告書、業務報告書、休暇届、メール送信記録、データの更新時刻、タクシー利用の伝票、交通費支給申請書、雇用条件通知書、就業規則や労働協約のコピー、会社の求人広告、会社の業務日カレンダー…などなど、自分が何年何月何日の何時に出社して何時に帰社したか、会社の勤務条件はどんなものか等が分かる、あらゆるものです。…給与明細、捨てていませんか? もし捨てていたらちゃんと保管しておきましょう。いざという時に、悪質な会社だと隠したり内容を改ざんしたりすることがありますので、正常なときにしっかりと集めておきましょうね。こういった証拠がそろっていると、いざという時にとても役に立ちます。
司法書士 森 香苗(もり・かなえ)東京都出身。大学法学部を卒業後、法律事務所をはじめ、不動産鑑定士事務所、一般企業、派遣社員など様々な仕事を経験した後、独立開業。
不動産鑑定士事務所にいた頃、競売物件を扱う中で、住宅を差し押さえられてもどうすることもできないなど、法律の知識がなかったために不利益を被る人をたくさん見る。
また、シングルになったが財産分与のやり方がわからず、問題を抱えこんでしまう女性にも多数会う。法律を知らないために大変な思いをしているママが多いことを痛感。少しでも彼女たちを支援できないかと考え、司法書士という立場から様々な相談に応える。
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