コラムvol.39 「訴えてやる!は万能ですか?」

ママの皆さま、こんにちは。今回は、いわゆる「訴えてやる!」ってどういうこと? について、考えてみようかな、と思います。
何かトラブルがあって、トラブルの当事者同士での話し合いではどうにも解決ができなくてこう着状態になり、さぁどうしようとなった場合、思いつく最終手段はおそらく裁判、つまり、訴えるということなのではないかな、と思います。その発想は、今の日本という国をよく理解していてまことに正しいです。日本では、何かトラブルがあった場合、実力行使で解決すること(例えば、貸したお金を返してくれない相手の財布を相手の鞄から勝手に出して現金を抜き取り返してもらうとか、家賃を滞納している賃借人を大家さんが部屋から力ずくで引きずり出すとか)が禁止されています。(自力救済の禁止といいます。) そうでないと、荒っぽい手段がまかり通って大変なことになりますよね。で、実力行使はダメなので、その代わりの解決方法として、裁判のシステムが用意されました。つまり、荒っぽい手段ではなくて、法律の基準にしたがって冷静に解決することにしたわけですよね。…とまぁ、ここまでは、とっても教科書的なお話。

さて、解決方法として用意された裁判システム。どんなシステムになっているのか初めて勉強した時は、フムフムなかなか良くできたシステムだな、と思いました。そして、実際にその裁判システムを使うようになって、ときどきアレ?と思います。…いえ、決してケチをつけるわけじゃないんです(汗) 実際この裁判システムで、多くのトラブルは解決しているのです。タローさんに貸したお金を返してもらえないで困っているハナコさんは、裁判システムを使って、まずは財産隠しをしそうなタローさんの銀行預金を仮に差し押さえておいて、それからタローさんを訴えて勝訴判決をもらい、その判決でタローさんの銀行預金を本格的に差し押さえて預金の中から貸したお金を取り返す…とまぁ、例えばこんな具合にです。この裁判システムを使ってトラブルを解決するプロが法律家です。
トラブルの種類にもいろいろありますが、私がアレ?と思うのは、感情の問題のトラブルです。「こんなに辛い思いをさせられて、もう絶対に許せない。謝ってほしい!」という場合。この手のトラブル、裁判システムは苦手だと思います。何故かというと、このトラブルを裁判システムで解決しようとすると、精神的苦痛に対する慰謝料請求ということでやらなければならないんですが、そうすると、はたして慰謝料請求できるほど相手のしたことは悪いことだったのか?(不法行為に当たるのか?)という話になってしまうのです。これってとても判断が難しい。辛い思いをした人にとっては、相手のしたことはあり得ないほど悪いことだし、実際そうだったかもしれないけれど、じゃあ法的に見て不法行為になるのかというとまた話が違ってきます。それで不法行為に当たらないということになると、慰謝料請求ができないので裁判システムは使えません。もしくは使ったとしても残念ながら結果がついてきません。
ということで、次回は、この感情の問題のトラブルはどうしたらいいのか考えたいな、と思います。
司法書士 森 香苗(もり・かなえ)
東京都出身。大学法学部を卒業後、法律事務所をはじめ、不動産鑑定士事務所、一般企業、派遣社員など様々な仕事を経験した後、独立開業。
不動産鑑定士事務所にいた頃、競売物件を扱う中で、住宅を差し押さえられてもどうすることもできないなど、法律の知識がなかったために不利益を被る人をたくさん見る。
また、シングルになったが財産分与のやり方がわからず、問題を抱えこんでしまう女性にも多数会う。法律を知らないために大変な思いをしているママが多いことを痛感。少しでも彼女たちを支援できないかと考え、司法書士という立場から様々な相談に応える。
相談・問い合わせなどはメールで(名前と連絡先をお忘れなく)


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