コラムvol.49 「児童虐待はどうしたら防げるでしょうか?」

ママの皆さま、こんにちは。先日のニュースですが、また子どもが育児放棄が原因で亡くなる悲しい事件がおきてしまいました。この事件について、いろいろな意見が報道されています。行政に通報があったのにもかかわらず救えなかったことに対する批判とか、育児放棄した親に対する批判とか、地域社会の人と人のつながりの希薄化に対する危機感とか…。それぞれもっともな意見だと思います。思うんですが、いつも、それだけじゃないよね、という気持ちでいっぱいになります。

ところで、育児放棄は児童虐待の一つなのですが、そもそも児童虐待ってどんな行為をいうのか、児童虐待防止法に何と書いてあるのか見てみたいと思います。(この法律でいう児童は18歳未満の子どもです。)
  • 児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。(身体的虐待)
  • 児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。(性的虐待)
  • 児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。(ネグレクト・育児放棄)
  • 児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。(心理的虐待)
そして、私たちは、児童虐待を受けたと“思われる”児童を発見したときは、「市町村・福祉事務所・児童相談所」に通告する義務があります。“思われる”なので、そうなんじゃないかと思って通告した後、真実は虐待の事実がないと判明したときでも、法的責任を問われることはありません。また、市町村・福祉事務所・児童相談所は、通告者を特定できる情報を漏らしてはいけないことになっており、通告者を保護する配慮がされ、積極的に通告を促すように規定されています。

さてさて、最初に書いた、それだけじゃないよね、という気持ちなんですが…人は誰でも幸せに生きたいと願っているし、幸せになる権利がある。憲法で保障されています。それは、不幸にして亡くなってしまった子どもはもちろんのこと、育児放棄した親にもある。もちろんどんな理由があれ育児放棄をしてはいけない。でもなぜその親は育児放棄をするに至ったのか、その理由は何でしょう? この親は、離婚後一人で2人の子どもを育てていました。小さい子どもを2人かかえてどんな生活を送っていたんでしょう。収入は満足にあったのか、そもそも安定した働き口があったのか、子どもが病気の時はヘルプしてくれる人や施設があったのか、あったならちゃんとアクセスできていたのか、健康状態は精神的にも肉体的にも健康だったのか、そうでなければちゃんとケアを受けられていたのか…。一つひとつの問題が積み重なって事件にまでなるんじゃないかしら。子どもを自力で育てられないならなぜ引き取ったのかとか、自己責任だという意見も見ましたが、いくら自己責任といっても事件は後を絶たないのだから解決になっていないのではないかしら。悲劇を繰り返さないために、一つひとつの問題が芽のうちに解決できる世の中にしていくっていうこと、そのために自分に何ができるのか考えたいと思います。
司法書士 森 香苗(もり・かなえ)
東京都出身。大学法学部を卒業後、法律事務所をはじめ、不動産鑑定士事務所、一般企業、派遣社員など様々な仕事を経験した後、独立開業。
不動産鑑定士事務所にいた頃、競売物件を扱う中で、住宅を差し押さえられてもどうすることもできないなど、法律の知識がなかったために不利益を被る人をたくさん見る。
また、シングルになったが財産分与のやり方がわからず、問題を抱えこんでしまう女性にも多数会う。法律を知らないために大変な思いをしているママが多いことを痛感。少しでも彼女たちを支援できないかと考え、司法書士という立場から様々な相談に応える。
相談・問い合わせなどはメールで(名前と連絡先をお忘れなく)


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